同族間取引~鑑定評価書の活用場面③~

1.同族・親族間で取引をする場合の問題点

相続税対策のために、役員が個人でお持ちの土地を法人に移転する場合
親子間で土地売買をする場合

上記の取引では、関係者間で売買価格を自由に決めることができるため、意図的に低い金額で取引をすると税務上問題となる場合があります。

個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、財産を譲渡した人から贈与により取得したものとみなされます。著しく低い価額の対価であるかどうかは、個々の具体的事案に基づき判定することになります。法人に対して譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合に、時価で譲渡があったものとみなされる「著しく低い価額の対価」の額の基準となる「資産の時価の2分の1に満たない金額」により判定するものではありません。
 また、時価とは、その財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には通常の取引価額に相当する金額を、それら以外の財産である場合には相続税評価額をいいます。

No.4423 著しく低い価額で財産を譲り受けたとき(国税庁)

したがって、同族・親族間で取引をする場合は適正な取引価格を設定する必要があります。

2. 同族・親族間で取引をする場合の価格の決め方

同族・親族間で取引をする際の価格を決める場合、以下の方法が考えられます。

(1)地価公示価格を利用する

公表されている地価公示価格を活用することはできますが、対象となる土地の形状や規模等の個別性を別途考慮する必要があります。

(2)相続税評価額を利用する

公表されている相続税路線価を活用することはできますが、路線価が時価より安く設定されているほか、画一的な評価になるため対象となる土地の個別性を反映し難いです。

(3)固定資産税評価額を利用する

同様に価格が安く設定されているほか、画一的な評価になるため対象となる土地の個別性を反映し難いです。

(4)不動産鑑定評価を利用する

上記はあくまで簡便な評価方法であり、適正価格とは必ずしもいえない場合があります。
税務当局に適正な取引価格であることを立証するため、鑑定評価書のご利用をおすすめします。

POINT!
   税務当局に適正な取引価格であることを立証するため、鑑定評価書のご利用をおすすめします。

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